VDSLとは?仕組み・遅い理由・サービス終了の対象建物までわかりやすく解説

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この記事はこんな人におすすめ
  • 開通案内や工事の担当者から突然「VDSL」と言われ、意味が分からない方
  • 「VDSLサービス終了」の告知を見て、いつ使えなくなるのか不安な方
  • マンションの回線が遅く、自分の力で変えられるのかを知りたい方

結論、VDSLとは建物の共用部までは光ファイバー、そこから各部屋までは電話線を使う接続方式で、全国一律では終了しません

なぜなら、NTT東日本とNTT西日本が切替期限を決めているのは、住所と建物名まで実名で公開されている約27,700棟だけだからです。

切替対象の建物が実名で載っているPDF

ただし、対象かどうかで取るべき行動は正反対になり、間違えると無料で光配線方式にできる権利を逃してしまいます

あなたはどれですか
  • VDSLの意味だけ知りたい方は1章
  • 終了が不安な方は4章
  • 速度に不満がある方は5章

この記事の調べ方|期限と数値はNTT東日本・NTT西日本・各事業者の告知ページを原文で確認したものだけを載せています。公式に確認できないことは確認できていないと書き、推測で埋めません。速度は規格上の最大値と実測値を必ず区別し、編集部が測定していない数値を実測しましたとは書きません。確認日は2026年8月12日です。

本記事では、通信会社に勤めていた頃の経験をもとに、VDSLとは何かを配線の構造から整理し、NTT東日本とNTT西日本の公式告知を原文まで確認したうえで、実測データとあわせて解説します。

元通信業界出身
ネット通信ラボ所長

テツヤ

筆者

通信会社で光回線の販売と企画に携わったのち、ネット通信ラボを開設。契約前の相談から開通後のトラブルまで、現場で幅広く対応してきました。専門用語をできるだけ使わず、料金と速度を数字で比べられる形にして届けます。

目次

VDSLとは建物まで光・部屋まで電話線を使う接続方式

VDSLとは、マンションの共用部までは光ファイバー、そこから各部屋までは電話線を使ってインターネットにつなぐ方式です。

正式名称はVery high-bit-rate Digital Subscriber Lineですが、覚える必要はありません。

押さえるべきは、部屋までの最後の区間だけが電話線のため、速度が最大100Mbpsで止まるという一点です。

共用部から各部屋だけ電話線を使う仕組み

光配線方式とVDSL方式とLAN配線方式の配線を比べた図

VDSLの配線は、電柱から部屋の中までを4つの区間に分けると理解できます。

光ファイバーが届いているのは、このうち共用部までです。

区間何でつながっているか
① 電柱から建物へ光ファイバー
② 共用部(MDF室)の中集合型回線終端装置とVDSL集合装置
③ 共用部から各部屋へもとから建物にある電話線
④ 部屋の中電話モジュラージャックとVDSL宅内装置

つまり、建物までは光配線方式とまったく同じ光ファイバーが来ています

違うのは③の区間だけで、ここが電話線かどうかで速度が決まります。

工事の流れはNTT東日本の公式サイトで確認できます。

速度が最大100Mbpsで頭打ちになる理由

VDSLの速度が100Mbpsに制限される理由を示した図

全体の速度を決めるのは、いちばん細い区間です。

VDSLではその区間が共用部から各部屋までの電話線にあたり、ここで最大100Mbpsに制限されます。

電話線はもともと音声を運ぶための線で、光ファイバーのように大量の信号を通す作りにはなっていません。

最大100Mbpsは実際に出る速度ではない
NTT東日本は、通信速度は技術規格上の最大値であって実際の通信速度を示すものではないと案内しています。実際に何Mbps出ているかは実測データで確認してください。

NTT東日本は、VDSL方式について建物内の設備状況・他回線との干渉・宅内の通信設備の影響で速度が低下する場合があるとも案内しています。

100Mbpsは上限であって、そこまで出ることを約束された数字ではありません

VDSLも光回線だが期待した速度は出ない

VDSLは光回線です。

建物までは光ファイバーで届いており、契約するサービスもフレッツ光やコラボ光(ドコモ光やビッグローブ光など)そのものだからです。

ただし、あなたが期待した速度は出ません

読者が期待していたこと実際に起きていること
部屋まで光ファイバーが来ている光ファイバーは共用部まで。部屋までは電話線
下り1Gbpsで使える上限は100Mbps。実測はそれより低い
回線を乗り換えれば速くなる建物の設備が決めているので、乗り換えても変わらない

物件情報の「光ファイバー対応」という表記に、VDSL方式が含まれていることもあります。

つまり広告の文言としては嘘ではないものの、読み手が想像する速度とはずれる、というのが実態です。

なお、この表記が表示のルール上どこまで許されるのかは、公式に確認できませんでした。

現実的な対処は、契約前に配線方式を確かめることです。方法は内見時に聞くべきこと、自分の使い方で足りるかどうかは用途別の判定表で確認してください。

ADSLとの違いは電話線を使う区間の長さ

ADSLとVDSLの違いは、電話線を使う区間の長さの一点です。

ADSLは電話局から自宅まで全区間が電話線ですが、VDSLは建物までが光ファイバーで、電話線は共用部から部屋までだけです。

項目ADSLVDSL
電話線を使う区間電話局から自宅まで全区間共用部から各部屋まで
光ファイバーの区間なし電柱から建物の共用部まで
電話局からの距離の影響受ける(遠いほど遅い)受けない
対象の住居戸建て・集合住宅集合住宅

名前が似ているうえに、フレッツ・ADSLはすでに提供が終わっているため、この2つは混同されがちです。

ADSLが終わったからVDSLも終わる、という話ではありません

日付の混線については5つの日付を整理した表で詳しく扱います。

光配線方式・LAN配線方式との違いは各戸までの配線だけ

マンションの配線方式は、光配線方式・VDSL方式・LAN配線方式の3つです。

3つとも建物の共用部までは光ファイバーで、違うのは共用部から各部屋までの区間だけです。

そしてこの区間の違いが、そのまま速度の差になります。

3方式の速度と配線を比べた早見表

3方式の違いは、次の表で一度に確認できます。

自室の差込口と機器から、自分の建物がどれに当たるかを逆引きすることもできます。

項目光配線方式VDSL方式LAN配線方式
電柱から共用部光ファイバー光ファイバー光ファイバー
共用部から各部屋光ファイバーもとからある電話線LANケーブル
最大速度1Gbps以上100Mbps建物のLAN設備による
実測の目安(下り)489Mbps73Mbps契約プランで分けられず未集計
室内の差込口光コンセント電話モジュラージャック壁面のLAN端子
室内に置く機器回線終端装置VDSL宅内装置不要な場合が多い
速度のボトルネックなし共用部から各部屋の電話線建物のLAN設備

調査環境|みんなのネット回線速度の個別計測を当サイトで集計した平均値です(直近12ヶ月・2026年8月時点)。集合住宅のうち、VDSL方式が中心となる100メガ契約と、光配線方式が中心となる1ギガ契約に分けています。件数はn=216件/4,644件です。出典:みんなのネット回線速度

実測の行は契約プランで分けた集計のため、100メガ契約側にはLAN配線方式の建物も混じっています。

表を縦に見ると、回線事業者を乗り換えても建物の配線方式は変わらないことがわかります。

変えるべきなのは契約先ではなく、共用部から各部屋までの区間そのものです。

遅くなる原因は共用部から各戸の区間にある

配線方式で差がつくのは共用部から各部屋までだと示した図

速度差が生まれているのは、共用部から各部屋までの区間だけです。

電柱から共用部までは3方式とも同じ光ファイバーなので、ここで差はつきません。

だから契約する回線を乗り換えても、VDSLの100Mbpsという上限は動きません

回線を乗り換えても変わらないもの
  • 共用部から各部屋までの配線の種類
  • 配線方式で決まる最大速度
  • 部屋に置く宅内装置の種類

乗り換えで変えられるのは、料金とプロバイダ側の混雑の度合いまでです。

VDSLのまま試して効く対策と効かない対策は6章、建物側を変える手順は7章で扱います。

自分の家がVDSLかを確かめる3つの手順

自分の家がVDSLかどうかは、3つの手順のどれか1つが取れれば確定します

3つとも試す必要はありません。

いちばん早いのは手順1で、壁の差込口を見るだけで見当がつきます。

自分の家がVDSL方式かを判定する3つの手順のフロー図

機器の型番や書面は手元にないことも多いため、確認しやすい順に並べています。

手順1|室内の差込口が電話線用か光用か

壁の差込口3種類から配線方式を判別する照合図

まず、部屋の壁にある差込口を見てください。

差込口はテレビ端子の近くにまとまっていることが多く、テレビの裏を覗くと見つかります。

電話線を挿す差込口から通信機器につながっていれば、VDSL方式です

壁にある差込口配線方式
「光」「光コンセントSC」と書かれた差込口光配線方式
「TEL」や電話のマークがある差込口VDSL方式
LANケーブルを挿す端子LAN配線方式

ただし、差込口が複数ある部屋では判定を間違えることがあります。

光コンセントは後から増設される
電話用の差込口があっても、別の壁に光コンセントが増設されている建物があります。電話用の差込口を見つけただけで確定させず、部屋全体を一度見回してください。

判断がつかない場合は、手順2か手順3を続けて確かめてください。

手順2|宅内装置の型番がVHで始まるか

宅内装置の型番からVDSL方式かを判別する図

次に、部屋に置かれている通信機器の型番を見てください。

NTT東日本は、端末装置の型番にVH-またはRV-の記載があればVDSL方式と案内しています。

判定方法はNTT東日本の公式サイトに掲載されています。

型番を探すときの3つのポイント
  • 型番シールはランプの面ではなく機器の側面か底面にある
  • VH-またはRV-で始まっていればVDSL方式
  • どちらでもなければこの手順では判定できないので手順3へ進む

なお、この装置は契約とセットで貸し出されているレンタル品です。

自分で高性能なものを買ってきて交換することはできません

手順3|開通のご案内の記載を確かめる

手元に書面が残っているなら、これがいちばん確実です。

NTT東日本は、申し込み時に届く『開通のご案内』の「ご利用サービス名」欄にVDSL方式と記載があればVDSL方式と案内しています。

契約プラン名とあわせて、提供方式と最大通信速度の記載も確認しておいてください。

書面が無くてもマイページで確認できる
『開通のご案内』を紛失していても、契約している事業者のマイページにログインすれば、契約中のサービス名を確認できます。フレッツ光ならNTT東日本・NTT西日本、コラボ光なら契約している事業者のマイページです。

ここまでの3手順で判定できなかった場合は、次の確認先へ進んでください。

管理会社もオーナーも分からないときの確認先

部屋の中を見られない場合や、管理会社が配線方式を把握していない場合もあります。

そのときは、NTT東日本のエリア検索に建物を入力すると、表示されるプラン名から設備を判別できます

エリア検索の表示その建物の設備
フレッツ 光ネクスト マンションタイプVDSL/LAN配線方式の装置だけが設置されている
フレッツ 光クロス/マンション・ギガラインタイプ光配線方式の装置が設置されている(VDSLとの併設を含む)
ご指定の住所は詳しい状況確認が必要ですどの装置も設置されていない

表示の見分け方はNTT東日本の公式サイトで公開されています。

この判別はNTT東日本のエリア検索が対象で、NTT西日本のエリアでは表示が異なります。

また、あくまで目安であり、提供を確約するものではないと公式にも注記されています。

口頭の回答だけで決めない
不動産会社や管理会社の担当者が配線方式を正しく把握していないことは珍しくありません。「VDSLではない」と言われたのに入居後にVDSLだった、という声が実際にあります。必ず自分の目か公式の検索結果で裏を取ってください。

ここまでで判定できたら、次は自分が取れる選択肢を確かめる段階です。

次の物件選びで内見時に聞くべきこと

配線方式は入居後には変えにくいので、物件を決める前に確かめるのがいちばん確実です。

物件情報の「光ファイバー対応」という表記だけでは、VDSL方式かどうかは判別できません。

内見のときは、次の3つをそのまま聞いてください。

内見でそのまま使える3つの質問
  • この建物の配線方式は光配線方式ですか、VDSL方式ですか
  • 室内に光コンセントはありますか
  • 建物にVDSLの集合装置と光配線の装置は両方入っていますか

そのうえで、室内では手順1のとおり自分の目で差込口を確かめてください。

担当者が答えられない場合は、建物の住所をNTT東日本のエリア検索にかければ設備を判別できます。

確認したはずなのに入居後にVDSLだったという事例があるため、口頭の回答だけを信じないでください

VDSLから光配線へ変えられるかの3分岐フローチャート

自分がどの分岐かによって、次に読むべき章が変わります。

分岐1と分岐2の手順は7章、分岐3の出口は9章で扱います。

VDSLは全国では終了しない|対象は実名公開の約27,700棟だけ

VDSL方式そのものが全国一律で終了するという公式発表は、どこにも出ていません

NTT東日本とNTT西日本が決めているのは、実名で公開されている一部の建物についての切替期限だけです。

つまり「VDSLが終わる」と「自分のVDSLが終わる」は別の問題で、後者は建物単位で決まっています。

公式が挙げている移行の理由
  • NTT東日本|通信品質の向上
  • NTT東日本|VDSL/LAN配線方式の電気使用量削減による環境負荷の低減
  • NTT西日本|集合装置の部材費高騰で提供の維持が困難になりつつあること

いずれも設備側の事情であり、利用者の使い方が理由ではありません。

切替期限が決まっているのは約27,700棟だけ

切替期限が決まっている建物は、東西を合わせて約27,700棟だけです。

NTT東西はその建物を住所と建物名まで載せたPDFで公開しており、当サイトで全ページを開いて件数を数えました。

管轄掲載件数件数が多い都道府県
NTT東日本25,448件東京10,689/神奈川3,085/千葉2,614/北海道2,295/埼玉1,925
NTT西日本2,307件大阪607/愛知462/福岡264/兵庫226

期限は全件が2026年1月31日で、これ以外の日付は1件もありませんでした。

対象は「光配線方式の装置とVDSL/LAN配線方式の集合装置が併設されている一部の建物」に限られます。

今後増える可能性は予告されている
NTT東日本は、対象が変更となる場合は一覧を更新すると案内しています。ただし東日本の一覧は2025年1月31日、西日本は2025年1月20日付から更新されておらず、いつどれだけ増えるかは公表されていません。

いまPDFに載っていないからといって、将来も対象外だと確定するわけではありません。

自分の建物が対象かは実名PDFで確かめる

VDSLの切替対象の建物かを確かめる3つの手順の図

自分が対象かどうかは、次の3手順で確定できます。

3章でVDSL方式だと判定できていることが前提です。

STEP
管轄を確かめる

自宅がNTT東日本とNTT西日本のどちらのエリアかを確認する。

STEP
PDFを開く

管轄に対応した対象物件一覧のPDFを開く。

STEP
建物名で検索する

ブラウザの検索機能で建物名か住所を入力し、掲載されているかを確かめる。

対象物件の一覧はNTT東日本のPDFで公開されています。

NTT西日本の管轄ならNTT西日本のPDFを開いてください。

建物名はブラウザの検索で探す
PDFを開いたら、Windowsは Ctrl+F、Macは Command+F で検索窓を出し、建物名か住所を入力してください。東日本の一覧は331ページあるため、上から目で追うのは現実的ではありません。

なお、対象になっている人にはダイレクトメールなどで案内が届くことになっています。

案内が届いていないなら、対象外である可能性が高いと考えてよいでしょう

対象なら工事費無料で光配線に変えられる

ここがこの話でいちばん誤解されている点です。

切替の対象になっている建物は、光配線方式の設備がすでに入っている建物に限られます。

つまり対象に入っているということは、そのまま光配線方式へ移れる建物だという意味になります。

誤解されていること実際
対象になったらネットが使えなくなる切替工事をすれば継続して使える
切替には工事費がかかるタイプ変更工事費は無料
対象は設備が古い建物対象は光配線方式の設備がすでにある建物

NTT東日本は工事費無料の申込受付期間を2024年10月1日から2026年1月31日までとし、2026年7月31日までに開通した人を対象としています。

ただし、この期間が延長されたという公式の告知は東西どちらにも見つかりませんでした

他サイトの延長日付は載せていません
複数のサイトが延長後の申込期限を書いていますが、当サイトでは公式に確認できた日付だけを載せています。公式ページには「申込期間は延長されることがあります」という注記があるため、申し込む前に契約先へ直接確認してください。

管轄工事費無料の申込受付期間主な条件
NTT東日本2024年10月1日〜2026年1月31日(2026年7月31日までに開通)移転を伴うタイプ変更は対象外
NTT西日本2025年1月1日〜(終了日の記載なし)申し込みから1年以内に移行が完了しない場合は対象外

NTT西日本の割引ページには終了日が書かれておらず、現在も受付中と読めます

同じ「工事費無料」でも東西で扱いが違うため、自分の管轄側の条件を確認してください。

光配線設備がない建物は対象外で使い続けられる

ここも直感と逆です。

VDSLの装置しかない建物は切替の対象外で、これまでどおり使い続けられます

対象外の建物について公式が書いていること
  • NTT西日本|「ひかり配線方式をご利用できないお客さまについては、引き続き『VDSL/LAN方式』の安定的な提供に努めてまいります」
  • ドコモ光|「『光配線方式』をご利用できないお客さまについては、引き続き『VDSL/LAN方式』にて『ドコモ光』をご利用いただけます」

つまり、いちばん不利に見える建物が、実はいちばん切られにくいという構造になっています。

ただし、期限を過ぎたときの書き方は東西で温度差があります。

事業者対象建物についての表現
NTT東日本期限までに切替工事が完了しなかった場合は「継続利用いただけなくなります」
NTT西日本2026年2月1日以降は「ひかり配線方式をご利用いただくこととさせていただきます」

NTT東日本は使えなくなると明言していますが、NTT西日本の表現はそこまで踏み込んでいません。

原文の差なので、西日本エリアの人は自分の契約先に直接確認するのが確実です。

ただし新規申込の受付は終わっている

使い続けられるのは、あくまでいま使っている人です。

新しく申し込むほうは、すでに受付が終わっている建物があります。

管轄受付終了日対象
NTT東日本2023年10月23日光配線方式とVDSLが併設されている建物
NTT東日本2024年10月24日VDSLの装置だけがあり、利用者が1人もいない建物
NTT西日本2025年1月31日上記2つに該当する建物

引っ越し先を探している人にとっては、ここが決定的です。

いま誰も使っていないVDSLの建物には、新しく引くことができません

期限を過ぎた今も公式の続報は出ていない

切替期限とされた2026年1月31日は、すでに過ぎています。

ところが、その後どうなったかを公式が説明した形跡がありません。

2026年8月12日時点で、NTT東日本の2026年のお知らせ一覧9件にVDSL関連の続報は1件もありません。2024年11月22日付の告知ページも更新されておらず、「2026年1月31日までに」という期限前の文面のまま掲示されています。NTT西日本の告知も2025年1月20日の更新のままです。

つまり、実際に止まったのか、猶予されたのか、対象がどれだけ残っているのかは公式からは確認できません

当サイトはここを推測で埋めず、確認できたことと確認できなかったことを分けて書いています。

公式に続報が出た時点で、この章は確認日ごと書き直します。

混同しやすい5つの日付の整理

VDSLに関する5つの日付と対象者を整理した年表

読者が混乱している原因は、性質の違う5つの日付が同じ「VDSLの終了」として流通していることにあります。

日付そのものより、それが誰に関係するのかを見てください。

日付何が起きる(起きた)関係する人
2023年10月23日NTT東日本|併設建物でVDSLの新規申込受付が終了これから申し込む人
2024年10月24日NTT東日本|利用者がいない建物で新規申込受付が終了これから申し込む人
2025年1月31日NTT西日本|同じ条件の建物で新規申込受付が終了これから申し込む人
2026年1月31日東西|対象建物の切替期限。同日にNTT西日本のADSLも提供終了すでに使っている人/ADSL利用者
2026年2月1日NTT西日本|対象建物でひかり配線方式の利用が始まるすでに使っている人

上の3つは新しく申し込む人の話で、すでに使っている人には関係がありません。

自分に関係するのは、下の2つだけです

ADSLの終了とは別の話

表のとおり、2026年1月31日はVDSLの切替期限であると同時に、NTT西日本のADSLの最終提供終了日でもあります。

同じ日付が2つの別々の話に使われているため、混同されやすくなっています

しかし1章で見たとおり設備も対象者も別なので、ADSL終了のニュースで感じた不安は、VDSLとは切り離して構いません

VDSLが遅い正体は混雑ではなく100Mbpsの上限

VDSLが遅い理由として、ほとんどのサイトが「住民で分け合うから夜に混む」と説明しています。

ところが実測を集計すると、夜だけ極端に落ちるという傾向は確認できませんでした

この章では、集合住宅の実測データをもとに遅さの正体を確かめていきます。

実測でも上限の100Mbpsには届かない

まず、実際に何Mbps出ているのかを見てください。

カタログ上の最大値は100Mbpsですが、実測の平均はそこまで届いていません

項目集合住宅の100メガ契約集合住宅の1ギガ契約
下り73Mbps489Mbps
上り63Mbps328Mbps
Ping16ms17ms

調査環境|みんなのネット回線速度の個別計測を当サイトで集計した平均値です(直近12ヶ月・2026年8月時点)。集合住宅のうち、VDSL方式が中心となる100メガ契約と、光配線方式が中心となる1ギガ契約に分けています。件数はn=216件/4,644件です。出典:みんなのネット回線速度

100メガ契約にはLAN配線方式の建物も含まれうるため、VDSL方式だけを抜き出した数値ではありません。

なお、Pingとは通信の応答速度のことで、数値が小さいほど反応が速いことを示します。

規格上の最大値ではなく、この実測値を基準に自分の使い方が足りるかを判断してください

時間帯で大きく落ちる傾向は見られない

集合住宅の100メガ契約と1ギガ契約の時間帯別の下り速度

時間帯ごとに集計すると、通説とは逆の結果になりました。

振れ幅が小さいのは、光配線方式ではなくVDSL側でした

時間帯集合住宅の100メガ契約(下り)集合住宅の1ギガ契約(下り)
78Mbps471Mbps
72Mbps532Mbps
夕方74Mbps477Mbps
70Mbps414Mbps
深夜73Mbps585Mbps

調査環境|時間帯の区分は当サイトの定義です(朝7〜9時/昼12〜13時/夕方16〜18時/夜19〜23時/深夜0〜5時)。みんなのネット回線速度の個別計測を直近12ヶ月ぶん集計した平均値です(2026年8月時点)。件数は100メガ契約でn=17〜77件です。1ギガ契約はn=354〜1,416件です。出典:みんなのネット回線速度

100メガ契約側は帯による差が1割程度で、夜だけ大きく落ちてはいません。

一方の1ギガ契約側は、夜と深夜で200Mbps近い開きがあります。

上限に張り付いている分、VDSL側は下がる余地も上がる余地も小さいと考えられます。

断定はできない件数です
時間帯別の計測件数は100メガ契約側で17〜78件と少なく、断定できる水準ではありません。ここで言えるのは「少なくとも夜だけ極端に落ちる傾向は確認できなかった」までです。

そのうえで、実際に夜だけ詰まっている人がいることも事実です。

夜だけ遅いと感じるときに疑うところ

前の見出しの数字は、多くの建物をまとめた平均であって、あなたの家の数字ではありません

回線ごとの内訳を見ると、建物による差のほうが時間帯による差よりも大きく出ています。

同じ建物で何戸がVDSLを使っているかによっても、結果は変わります。

STEP
時間帯を分けて測る

朝・昼・夜・深夜の4回、同じ場所で速度を測って記録する。

STEP
有線で測る

Wi-Fiではなく、宅内装置から直接LANケーブルでつないで測る。

STEP
平均と比べる

前の見出しの実測値と比べ、どの時間帯がどれだけ低いかを見る。

STEP
切り分ける

夜だけ大きく落ちるなら、宅内側(Wi-Fiの混線)と建物側(戸数や電話線の状態)のどちらかを疑う。

測った結果、どの時間帯でも同じくらいなら、それがあなたの建物の実力です。

原因が建物側にあると言い切れるデータは当サイトも持っていません

そのため、ここでは原因の断定ではなく切り分けの手順までを示しています。

Ping値は光配線方式とほとんど変わらない

オンラインゲームの可否をPingで判断しようとしている人には、意外な結果かもしれません。

集合住宅のPingは、100メガ契約と1ギガ契約でほぼ同じでした

前の表のとおり、100メガ契約が16ms、1ギガ契約が17msで、差は誤差の範囲です。

100ms前後という体験談は個別事例
VDSLでPingが100ms前後だったという投稿は実在しますが、それは特定の建物や環境の話であって全体の傾向ではありません。全体の平均は上の実測のとおりです。

「VDSLだからPingが悪い」という説明は、少なくともこの集計では支持されませんでした。

つまり、ゲームができるかどうかを分けるのはPingではなく、上りと下りの帯域のほうです。

判断材料は、この章の最後にある用途別の判定表で確認してください。

光配線方式との差は下り速度で6倍以上

VDSLと光配線のカタログ値と実測値の差を比べた図

光配線方式に変えると、実際どのくらい速くなるのかを見ておきます。

カタログ上は100Mbpsと1Gbpsで10倍の差ですが、実測どうしで比べると差は10倍もありません

比べ方100メガ契約1ギガ契約
カタログ上の最大値100Mbps1,000Mbps10倍
実測の下り73Mbps489Mbps約6倍以上

調査環境|みんなのネット回線速度の個別計測を当サイトで集計した平均値です(直近12ヶ月・2026年8月時点)。集合住宅のうち、VDSL方式が中心となる100メガ契約と、光配線方式が中心となる1ギガ契約に分けています。件数はn=216件/4,644件です。出典:みんなのネット回線速度

それでも下りで6倍以上の差があり、光配線方式に変えられるなら変える価値は十分にあります。

一方で、この差が自分にとって必要かどうかは使い方によります。

あなたの使い方で足りるかどうかの判定

ここまでの実測は、下りが73Mbps、上りが63Mbpsでした。

これをNTT東日本が公開している用途別の目安と突き合わせると、判定できます。

目安はNTT東日本の公式サイトで公開されています。

使い方NTT東日本が示す目安VDSLの実測での判定
メール・チャット1Mbps以上余裕で足りる
Webサイトの閲覧下り10Mbps以上余裕で足りる
動画の視聴下り25Mbps以上足りる
Web会議・動画配信上り下り15Mbps以上足りる
オンラインゲーム上り下り30Mbps以上足りる
動きの激しいオンラインゲーム100Mbps以上上限を超えるため届かない

動画もWeb会議も、公式の目安で見るかぎりVDSLの実測で足りています

届かないのは、動きの激しいオンラインゲームで求められる100Mbps以上だけです。

配信をするなら上りを見る
配信では上りの速度が効きます。VDSLの上りの実測は63Mbpsで、Web会議や動画配信の目安である15Mbpsは上回っています。使う配信サービスが求める上り速度も確認してください。

ここで足りていると判断できたなら、無理に乗り換える必要はありません

VDSLのまま打てる手と、打っても変わらない手

ここから先は、いまの速度に不満がある人向けです。

前の章の判定で足りていた人は、この章を飛ばして構いません。

先に天井を言っておくと、どの対策を打っても最大100Mbpsを超えることはありません

打てる手VDSL環境での効き方
有線LANでつなぐ実測ではほとんど差が出ない
IPv6(IPoE)に変える混雑が原因の遅さにだけ効く
ルーターを高性能なものに買い替える上限が変わらないので効かない
LANケーブルを高い規格にするCAT5eで足りるため効かない
VDSL宅内装置を買い替えるレンタル品なので交換できない
10ギガプランに申し込むVDSL方式では契約できない
光配線方式に変える実測で6倍以上の改善が見込める

本当に効くのは、いちばん下の光配線方式への変更だけです。

以下では、それぞれがなぜ効かないのかを実測とあわせて説明します。

有線に替えても実測差はごくわずか

速度が遅いときの定番の対策は「まずLANケーブルでつなぐ」です。

ところが集合住宅の100メガ契約では、有線と無線の差がほとんど出ていません

接続方法集合住宅の100メガ契約(下り)集合住宅の1ギガ契約(下り)
有線75Mbps584Mbps
無線(Wi-Fi)72Mbps419Mbps

調査環境|みんなのネット回線速度の個別計測を当サイトで集計した平均値です(直近12ヶ月・2026年8月時点)。集合住宅のうち、VDSL方式が中心となる100メガ契約と、光配線方式が中心となる1ギガ契約に分けています。件数は100メガ契約でn=76件/140件です。1ギガ契約はn=1,986件/2,657件です。出典:みんなのネット回線速度

1ギガ契約側では有線と無線で100Mbps以上の開きがあり、有線化の効果がはっきり出ています。

「まず有線接続」という定石は、光配線方式の環境の話だと考えたほうが実態に合います

効果がゼロという意味ではない
100メガ契約側の計測件数は有線・無線とも200件に届かず、断定できる水準ではありません。Wi-Fiの電波が弱い部屋では有線化の効果が出るため、試す価値はあります。

ただし、期待するほどの差にはなりにくいと考えておいてください。

IPv6化で消えるのは混雑分の遅さだけ

IPv6にすれば速くなる、という説明をよく見かけます。

IPv6で実際に何が変わるのかは、IPv6とは何かにまとめています。

正確には、IPv6(IPoE)で消えるのは混雑が原因の遅さだけです。

IPoEとは、従来のPPPoEという接続方式で起きていた出入口の渋滞を通らずに済ませる新しい接続方式で、詳しくはIPoEとPPPoEの違いで解説しています。

遅さの原因IPv6(IPoE)で解決するか
インターネットへの出入口の混雑解決する場合がある
共用部から各部屋までの電話線の上限解決しない

つまり、電話線区間の100Mbpsという物理的な上限は、接続方式を変えても動きません

しかも前の章のとおり、時間帯による落差はほとんど確認できませんでした。

混雑が主な原因だという証拠が薄いため、IPv6化で得られる改善も限定的だと考えられます。

工事なしで試せる数少ない手
効果は限定的でも、IPv6(IPoE)への切り替えは工事なしで試せます。契約中のプロバイダが対応していれば申し込むだけなので、光配線方式に変えられない人は先に試す価値があります。

契約先が対応しているかどうかは、プロバイダのマイページで確認できます。

そもそもプロバイダと回線事業者がどう違うのかは、プロバイダーとは何かにまとめています。

高性能ルーターや高規格ケーブルは要らない

買い替えを勧める記事は多いのですが、VDSL環境では出費に見合いません。

上限が100Mbpsである以上、それを超えられる機器を買っても意味がないからです。

LANケーブルの規格でいうと、CAT5e(カテゴリ5e)が最大1Gbpsに対応しているため、これで十分足ります。

持っているもの買い替える意味
CAT5eより新しいケーブルない(すでに上限を超えている)
CAT5の古いケーブルある(100Mbps対応で余裕がないため)
数千円のWi-Fiルーターない(上限は変わらない)

例外はCAT5の古いケーブルを使っている場合だけで、これはCAT5eに替える価値があります。

ケーブルの規格は、ケーブルの側面に印字されている文字で確認できます。

宅内装置は買い替えられない

VDSL宅内装置を自分で買えば速くなる、と考えている人がいます。

しかしこの装置は契約とセットで貸し出されているレンタル品で、買い替えることはできません

機器を買い替えても解決しない理由
  • 契約との紐付けがあるため、同じ型番を入手しても置き換えられない
  • 交換できたとしても、電話線区間の100Mbpsという上限は変わらない

速度を上げる目的で機器を探すのは、時間もお金も無駄になります

故障してランプが消えている場合の対処は10章で扱います。

VDSLでは10ギガをそもそも契約できない

これは誤解が多いところなので、はっきり書いておきます。

VDSL方式では、10ギガプランをそもそも契約できません

10ギガは光ファイバーが部屋まで引き込まれている光配線方式が前提で、「契約はできるが速度が活かせない」という話ではありません。

それでも10ギガを使いたい場合は
マンションプランではなく戸建てプランの光配線を自室まで直接引き込む方法があります。ただし建物の配管の状況とオーナーの承諾しだいなので、誰でもできるわけではありません。

この方法の条件と手順は、9章で扱います。

まずは建物ごと光配線方式に変えられないかを、次の章で確認してください。

光配線方式へ変更する条件と手順

手順に入る前に、自分がどのケースかを確定させてください。

この確定を飛ばすと、自分には関係のない手順を読むことになります

3章の末尾と同じ分岐なので、すでに確定している人はそのまま読み進めてください。

VDSLから光配線へ変えられるかの3分岐フローチャート
あなたのケース必要なこと読むところ
建物に光配線方式の設備がすでにある契約先に申し込むだけこの章のあと、8章の相談先へ
VDSLの装置しかない建物管理会社やオーナーの了承と共用部への設備導入この章のすべて
配管などの事情で設備を入れられない別の回線を選ぶ9章の代替の選択肢へ

建物に光配線方式の設備がすでにあるなら、住人の合意も工事の交渉も要りません

以下は、VDSLの装置しかない建物に住んでいる人向けの内容です。

変更に必要な契約件数はNTT東西で決まる

共用部に光配線方式の設備を入れるかどうかは、個人の希望だけでは決まりません。

NTT東日本は、マンションタイプのサービスメニューをその建物で見込める契約数で決めると公表しています。

サービスメニュー建物で見込める契約数
ミニ4以上
プラン18以上
プラン216以上

この条件はNTT東日本の公式サイトに掲載されています。

つまり、自分1人が希望しても建物としての見込み数が立たなければ動きません

なお、NTT西日本の件数条件は公式サイト上で確認できなかったため、西日本エリアの人は問い合わせで確認してください。

管理会社・オーナーの承認をどう取るか

いきなり「光にしてください」と頼んでも、たいてい話は進みません。

先に住人の希望を集めてから相談すると、管理会社は判断材料を持てます

賃貸か分譲かで、動かす相手も順序も変わります。

住まいの種類相談する相手揃えておくもの
賃貸管理会社またはオーナー同じ建物で希望している人の数、回線事業者の提供可否
分譲管理組合(理事会・総会の議題)住人の意向調査の結果、提供可否、工事費の負担者

分譲の場合は議題として出す必要があるため、総会のタイミングまで待つことになります。

管理会社への依頼で伝えること
  • 現在の配線方式がVDSL方式で、速度が最大100Mbpsに制限されていること
  • 建物が切替の対象なら、タイプ変更工事費が無料であること
  • 共用部に光配線方式の装置を入れる工事の許可が必要なこと
  • 同じ建物で希望している入居者が何人いるか

「VDSLは廃止されるので変えるしかない」という言い方はしないでください

4章のとおり全国一律の廃止は決まっておらず、事実と違う説明で通した話は後で崩れます。

管理組合を名乗るアンケートに注意
管理組合を名乗る第三者が光回線の導入アンケートを配っていた、という報告があります。書面が届いたら、管理会社や理事会に正式なものか確認してから回答してください。

期間の目安については、公式が示している数字はありません。

ある居住者の記録では、相談から可決まで約9ヶ月かかったとあります。

これは1件の事例であって、一般にこのくらいかかるという話ではありません

工事でどこまでが自分の負担になるか

光配線方式の工事は、区間ごとに実施する人が変わります。

入居者がやるのは、部屋の中の準備と機器の接続だけです。

区間実施する人
電柱から共用部(MDF室)へNTT東日本
共用部から各部屋へNTT東日本、または入居者側の手配
各部屋への引き込みNTT東日本
部屋の中の接続と設定入居者

区間ごとの詳しい内容はNTT東日本の公式サイトで公開されています。

なお、共用部から各部屋への配線には配管が必要で、配管は管理組合やオーナー側の用意になります。

当日までに確認しておくこと
壁に穴を開けるビス止めが禁止されている物件があります。工事日が決まったら、作業スペースの確保とあわせて、ビス止めの可否を管理会社に確認しておいてください。

家具や本棚が壁際にある部屋では、当日までに動かしておくと工事がスムーズです。

管理会社が動かないときの要望フォーム

相談しても管理会社が動かない、という状態で止まっている人が少なくありません。

その場合に使えるのが、NTT東日本が2024年11月22日に開設した要望の受付窓口です。

入居者が管理会社の情報を入力すると、NTT東日本のスタッフが管理会社へ光配線方式の導入を案内してくれます。

この窓口を使うと変わること
  • 入居者が自分で管理会社を説得しなくてよくなる
  • 事業者の担当者から管理会社へ直接案内が入る
  • 建物ごと光化するプランの案内もあわせて行われる

窓口はNTT東日本のWebフォームです。

必ず導入されるわけではない
公式には「有償対応が必要な場合や、ご要望に沿えない場合もございます」と注記されています。また、管理会社との対応結果は情報提供者には回答されないため、進捗は自分で管理会社に確認する必要があります。

この窓口はNTT東日本のもので、西日本エリアの人は使えません

NTT西日本エリアの人は、NTT西日本の移行申込窓口から相談してください。

契約中の回線ごとに違うVDSLの扱いと相談先

ここまでの話が自分に当てはまるかは、契約している回線によって変わります。

4章の切替が関係するのは、NTT東西の設備を使っている回線だけです。

auひかりやNURO光のように自社の設備を持つ回線は、そもそも別の話になります。

コラボ光の申込先はNTTではなく契約事業者

いちばん多い間違いが、連絡先を取り違えて何度もかけ直すことです。

フレッツ光の契約者以外は、NTT東日本やNTT西日本に電話しても手続きできません

NTT東西の告知にも、コラボ光を利用している場合は契約事業者へ問い合わせるよう明記されています。

契約している回線切替の申込先
フレッツ光NTT東日本またはNTT西日本
ドコモ光ドコモ
ソフトバンク光・ビッグローブ光などのコラボ光契約している事業者

請求書が届いている会社が、そのまま連絡先だと考えてください

毎月の料金をどこに払っているかを見れば、迷わずに済みます。

コラボ光の仕組みそのものは、コラボ光とは何かで図解しています。

主要な回線ごとのVDSLの扱い一覧

自分の契約している回線の行だけを見てください。

独自の設備を持つ回線は、NTT東西の切替の対象になりません

契約している回線NTT東西の切替との関係相談・申込先
フレッツ光対象になりうるNTT東日本/NTT西日本
ドコモ光対象になりうる(公式告知あり)ドコモ
ソフトバンク光などのコラボ光対象になりうる契約している事業者
auひかり無関係(KDDIの自社設備)KDDI
NURO光無関係(自社設備)ソニーネットワークコミュニケーションズ
eo光無関係(オプテージの自社設備)オプテージ

ドコモ光は2025年2月4日付の公式お知らせで対応を案内しています。

ソフトバンク光など他のコラボ光については、個別の告知を当サイトでは確認できませんでした。

確認できていないことは書かないため、詳細は契約先に直接お問い合わせください

電話線を使うのはNTTの回線だけではない
auひかりのマンションタイプにも電話線を使う方式があります。タイプVは最大100Mbps、タイプGは同じ電話線で最大664Mbpsです。eo光のマンションタイプにもVDSL方式があります。

ただし、どのタイプで提供されるかは建物の設備で決まり、契約者が選べるものではありません。

そして2章のとおり、回線事業者を乗り換えても建物の配線方式は変わりません

VDSLの建物でauひかりに乗り換えても、電話線を使う方式のまま提供されることになります。

変更できないときに残る3つの選択肢

建物ごと光配線方式にできないと分かっても、打つ手がなくなるわけではありません。

残る選択肢は3つあり、どれも建物全体の合意なしで検討できます

比べる軸は、工事の要否・許可の要否・自分の使い方に合うかの3つです。

選択肢工事許可向いている人
戸建てプランを自室に個別契約する必要オーナーの許可が必要速度をいちばん重視する人
ホームルーターに切り替える不要不要すぐに何とかしたい人
ケーブルテレビを使う建物の設備しだい建物の設備しだいすでに引き込みがある建物の人
何もしない不要不要5章の判定で足りていた人

速度が出るかどうかは、どれも建物や電波の状況しだいで変わります

順番に、どういう人に向くのかを見ていきます。

戸建てプランを自室に個別契約する

マンションに住んでいても、戸建て向けのプランを自分の部屋まで直接引き込める場合があります。

建物全体の合意が要らず、自分ひとりの申し込みで完結するのが最大の利点です。

6章で触れた「VDSLでは10ギガを契約できない」問題も、この方法なら可能性が出てきます。

成立しやすい条件
  • オーナーや管理会社が電柱からの引き込みを許可している
  • 建物の外壁から自室まで配線を通せる配管や経路がある
  • 低層階、または引き込み口から近い位置に部屋がある
成立しにくい条件
  • 壁に穴を開ける工事が禁止されている
  • 高層階で、外壁からの引き込みが物理的に難しい
  • 配管がふさがっていて新しい線を通せない

料金はマンションタイプより高くなるのが一般的です。

一例として、ドコモ光の1ギガは戸建てプランが5,720円、マンションタイプが4,400円です。

許可が下りても工事の可否は現地調査で決まるため、申し込み前に確定はしません

ホームルーターに切り替える

コンセントに挿すだけで使えるホームルーターは、工事も許可も要りません。

明日から使い始められるという速さが、この選択肢のいちばんの価値です。

一方で、速度は建物と基地局の位置関係に左右されます。

項目ホームルーター
工事不要
オーナーの許可不要
使えるまでの期間端末が届いた日から
速度の安定性電波の入り方しだいで変わる
上り速度光回線より弱くなりやすい

VDSLとどちらが速いかは、実際に自宅で使ってみるまで分かりません

そのため、お試し期間や返品できる窓口を選んで実際に測るのが確実です。

配信やアップロードが多い人は、上りの速度を必ず確認してください。

ケーブルテレビのインターネットを使う

建物にケーブルテレビの引き込みがある場合は、これが第3の道になります。

共用部の光配線工事をしなくても、既存の設備で速度を確保できる可能性があります

ただし、この選択肢は建物によって結論がはっきり分かれます。

契約前に確認すること
  • 建物にケーブルテレビの引き込みがすでにあるか
  • インターネットの提供規格と最大速度
  • 夜間の混雑について同じ建物の入居者の評判

ケーブルテレビに変えて満足した人も、逆に不満で戻した人もいます

当サイトとしておすすめはせず、上の3点を確認したうえで判断してください。

何もしないという選択が正解になる条件

最後に、いちばん見落とされている選択肢を挙げておきます。

5章の判定で足りていたなら、何もしないのが正解です

VDSLの実測は下りが73Mbpsで、動画視聴もWeb会議も公式の目安を上回っています。

当てはまるなら何もしなくてよい変更を検討したほうがよい
動画視聴・Web会議・Webサイト閲覧が中心動きの激しいオンラインゲームをする
夜も体感で困っていない夜だけ極端に遅くなる
家族の同時利用で不便を感じていない大容量のアップロードが日常的にある

「使えなくなる」と煽られて乗り換える必要はありません

4章のとおり、対象建物なら無料で光配線方式に変えられ、対象外なら当面そのまま使えます。

契約内容だけは確認する
VDSLの建物では、光配線方式向けの高速プランをそもそも選べません。いま払っている料金が自分の建物で選べる範囲のものかどうかは、契約先に一度確認しておいてください。

そのうえで困っていないのなら、この記事はここで読み終えて構いません。

VDSLモデムのランプ異常・故障時の対処

ここまでは速度の話でしたが、そもそもつながらなくなることもあります。

先に切り分けてから連絡すると、解決までがはるかに早くなります

見るのは、宅内装置のランプと、契約している事業者の2つだけです。

ランプ表示から原因を切り分ける

連絡する前に、まず再起動を試してください。

ドコモ光は、電源プラグを抜いて30秒以上待ってから挿し直す手順を公式に案内しています。

STEP
電源を抜く

VDSL宅内装置とルーターの電源プラグをコンセントから抜く。

STEP
ケーブルを確認する

電話線とLANケーブルの差し込みが緩んでいないか押し込んで確かめる。

STEP
30秒以上待つ

ランプがすべて消えた状態で30秒以上待つ。

STEP
挿し直す

宅内装置、ルーターの順に電源プラグを挿し直して接続を確認する。

手順の詳細はドコモ光の公式サポートに掲載されています。

それでも直らない場合は、ランプの状態から原因の当たりをつけます。

ランプの状態まず疑うところ
すべて消灯している電源まわり、または機器そのものの故障
電源だけ点灯し、ほかが消えている建物側から信号が届いていない
接続を示すランプが点滅したまま安定しない回線側、または宅内の配線
ランプは正常なのにつながらないルーターやパソコン側の設定

ランプの色や点滅の意味は機種によって違うため、この表はあくまで当たりをつけるためのものです

正確な意味は、機器の取扱説明書か契約先のサポートページで確認してください。

長く使った機器は経年で壊れる
10年以上同じ宅内装置を使っていて突然すべてのランプが消えた、という相談は実際にあります。宅内装置はレンタル品なので、故障による交換で費用が発生することは原則ありません。

つながらない状態が続くなら、次の連絡先へ進んでください。

故障時の連絡先は契約先で変わる

急いでいるときほど、連絡先を間違えて時間を失います。

コラボ光の契約者がNTTへ電話すると、契約が確認できないと言われて先へ進めません

考え方は8章の申込先とまったく同じで、毎月の料金を払っている会社が窓口です。

契約している回線故障時の連絡先
フレッツ光NTT東日本またはNTT西日本
ドコモ光ドコモ
ソフトバンク光などのコラボ光契約している事業者

連絡するときは、ランプの状態と再起動を試した結果を先に伝えてください。

切り分けの情報があるだけで、機器の交換か回線側の調査かの判断が早くなります。

詳しい窓口の分岐は8章で確認できます。

VDSLについてよくある質問

本文で扱いきれなかった細かい疑問をまとめました。

誤解されやすいものから順に並べています

VDSLは光回線ですか?

はい、VDSLも光回線です。

ただし光ファイバーが届いているのは建物の共用部までで、そこから各部屋までは電話線を使うため上限は100Mbpsになります

詳しくは1章で解説しています。

なぜVDSLサービスが終了するのですか?

そもそも全国一律で終了することは決まっていません

NTT東西が公表しているのは一部の建物についての切替で、理由として通信品質の向上、電気使用量の削減による環境負荷の低減、集合装置の部材費や電気代の高騰を挙げています。

自分の建物が対象かは4章で確認できます。

ADSLとVDSLの違いは何ですか?

電話線を使う区間の長さが違います。

ADSLは電話局から自宅まで全区間が電話線ですが、VDSLは建物までが光ファイバーで、電話線は共用部から部屋までだけです。

そのためADSLの提供終了とVDSLの切替は別の話になります。

VDSLとホームルーターはどちらが速いですか?

自宅で使ってみるまで分かりません

ホームルーターの速度は建物と基地局の位置関係で大きく変わるため、一律にどちらが速いとは言えないためです。

お試し期間のある窓口を選んで、実際に測って比べてください。

光コンセントがあれば光配線方式ですか?

光コンセントがあっても、実際に使われていなければVDSL方式のままです

光コンセントだけが後から設置されている建物もあるため、部屋に置かれている機器の型番とあわせて判断してください。

判別の手順は3章にまとめています。

光回線を乗り換えれば配線方式も変わりますか?

いいえ、契約する回線を乗り換えても建物の配線方式は変わりません

配線方式は建物の設備で決まっているため、事業者を変えても共用部から各部屋までの区間はそのままです。

VDSLの建物でも10ギガは契約できますか?

いいえ、VDSL方式では10ギガをそもそも契約できません

10ギガは光ファイバーが部屋まで引き込まれている光配線方式が前提だからです。

戸建てプランを自室まで直接引き込めれば可能性は出てきますが、建物の状況とオーナーの許可しだいです。

以上で、検索されることの多い疑問はひととおり解消できるはずです。

残った疑問は、契約している事業者のサポート窓口へ直接確認してください。

まとめ|あなたが次にやることは3つのどれか

VDSLは全国一律では終了せず、あなたが次にやることは建物の状況で3つに分かれます

どれに当てはまるかは、実名で公開されているPDFに自分の建物があるかどうかで決まります。

  • 対象建物なら、工事費無料で光配線方式に切り替えられる
  • 対象外なら、当面はそのままVDSLを使い続けられる
  • 動画視聴・Web会議・Webサイト閲覧なら、実測でも公式の目安を上回っている
  • 動きの激しいオンラインゲームで求められる100Mbps以上には届かない
  • 契約する回線を乗り換えても、建物の配線方式そのものは変わらない

自分がどれなのかを確定させてから、下の3つのうち1つだけを実行してください。

対象建物の人は無料の切替工事を申し込む

PDFに自分の建物名があった人は、切替工事を申し込むだけで光配線方式になります

タイプ変更工事費は無料で、対象者にはダイレクトメールでも案内が届いているはずです。

申込先は、フレッツ光ならNTT東日本かNTT西日本、コラボ光なら契約している事業者です。

対象物件の一覧

工事費無料の申込期間は東西で条件が違うため、申し込む前に契約先で確認してください

対象外の建物の人は当面そのまま使える

PDFに自分の建物がなかった人は、切替の対象ではないので何も起きません

NTT西日本もドコモ光も、光配線方式を利用できない人は引き続きVDSL方式で使えると明記しています。

そのうえで速度に不満があるなら、共用部への光スプリッタ導入を要望できます。

管理会社が動かないときの窓口
NTT東日本のWebフォームが使えます。管理会社の情報を入力すると、NTT東日本のスタッフが管理会社へ導入を案内します。西日本エリアの人は契約先へ相談してください。

自分で管理会社を説得しなくてよくなるので、詰まっている人はここから動けます。

速度がどうしても必要なら代替を選ぶ

建物ごとの変更が動かない場合でも、選択肢は残っています。

ただし動く前に、本当に速度が足りていないのかを用途別の判定で確かめてください

選択肢工事オーナーの許可
戸建てプランを自室に個別契約する必要必要
ホームルーターに切り替える不要不要
ケーブルテレビを使う建物の設備しだい建物の設備しだい

3つの詳しい比較は9章にまとめています。

足りているなら、何もしないことがいちばん損の少ない選択です

タイプ変更工事費は無料

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この記事を書いた人

テツヤのアバター テツヤ 元通信業界出身|ネット通信ラボ所長

元通信業界出身|ネット通信ラボ所長
通信会社で光回線の販売と企画に携わったのち、ネット通信ラボを開設。契約前の相談から開通後のトラブルまで、現場で幅広く対応してきました。専門用語をできるだけ使わず、料金と速度を数字で比べられる形にして届けます。

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